治療のポイント
ジギタリスのきかない心不全
友松 達弥
1
1神大内科
pp.294-295
発行日 1969年3月10日
Published Date 1969/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202584
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ジギタリスのきく心不全
ジギタリス(以下ジギと略す)のきかない心不全を考える前に,ジギのきく心不全をはっきりさせておくことが必要である.
心不全は心筋自体の器質的障害による場合と,異常の負荷すなわち機械的因子により発生する場合とがあるが,原則的には後者によく効き前者に対してはきかないか,またはききがよくないものである.機械的因子によるものといえども一律にきくわけではない左心に対する流入負荷(量負荷)の場合がことによくきくのである.換言すれば大動脈閉鎖不全,僧帽弁閉鎖不全であり,いずれも低拍出性心不全となるものである.それ以外の機械性因子による心不全すなわち弁膜症,高血圧症,先天性心疾患の場合にも奏効するが,効果の不十分と思われることがよくある.心筋の器質的障害に心筋硬塞,心筋炎,心筋症がある.前述の機械的因子すなわち量または圧負荷による心不全においても,筋性因子が加わってきて効果の逓減をきたすものである.筋性因子は複雑である.全く奏効しないわけではない.心筋硬塞による心不全にもジギタリスは使用して奏効することがしばしばである.要は心筋の傷害が広範にわたり,しかも高度であれば効果はきわめて乏しくなる.
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