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講座
リウマチ性心疾患とC-reactive Protein(C. R. P. )
Rheumatic heart disease and C-reactive Protein
塩川 優一
1
,
辻 恒太
2
Yuichi Shiokawa
1
,
Tsuneta Tsuji
2
1順天堂大学第一内科
2東京大学美甘内科
1Juntendo Universty
2Tokyo University
pp.377-384
発行日 1958年5月15日
Published Date 1958/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200627
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1.緒言
リウマチ熱が心疾患,殊に弁膜疾患の原因として重要な役割をしていることは周知の通りである。しかし多くの努力にかかわらずその診断は頗る困難且つ不確実とされている。従来の統計におけるリウマチ熱の判定はその基準が全く不定であつて,或いは心疾患の中で梅毒,動脈硬化など明らかな原因あるものを除いて残りをすべてリウマチ性心疾患として一括したり,又は関節症状の既往が少しでも存すればこれをリウマチ性としたり,更にこれらに患者の年齢や障害された弁膜の部位などのリウマチ性心疾患の特長を考慮に入れて決定するに止る。Jones1)ははじめて1つの基準をつくり心症状,関節症状,ぶとう病,紅斑其他の全身症状を綜合判断してリウマチ熱を診断する試みを行つたが,これも彼の論ずる如くリウマチ熱そのものではなく,リウマチ熱の疑いが最も濃厚な症候群というに止る。
以上の様な事実によりリウマチ熱を臨床症状の他に生化学的又は血清学的検査により診断しようとする試みがなされて来た。しかしこの方面でもなお決定的な収穫はない。唯,Coburn2),3)等によりリウマチ熱と溶連菌感染の関係に基き溶連菌抗体の測定によりその診断を行う方法がはじめられ,最近では広く認められるに至つた。抗体の中で最も容易に測定出来る抗ストレプトリジンO価(Antistreptolysin O titer)が用いられる。
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