Japanese
English
症例
解離性大動脈瘤2例
Two cases of dissecting aneuryon of aorta.
中島 弘道
1
,
菊地 晃
1
,
松下 寛
1
,
本田 西男
1
,
小野 富子
1
Hiromichi NAKAJIMA
1
1東京大学田坂内科学教室
1Tasaka clinic, Medical Dept. Tokyo Univ.
pp.648-654
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200536
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緒 言
解離性大動脈瘤は,大動脈のMedionecrosisによつておこるもので,Vasa Vasorumより変性に陥つたMediaへの出血によつて,動脈瘤(正しくは血腫)が形成されるといわれている。Lod—wick7)は此の外にArterio sclerotic typeをわけており,之は前者に比して解離の範囲がせまく,主に腹部におこるという。本症の原因としては,妊娠,高血圧,大動脈狭窄,Marfan's syndrome大動脈炎等があげられている。Schnitker及びBayer15)によれば,本症に罹患した女性49例中の24例は妊娠していたとの事である。高血圧は少数の例外を除けば,妊娠,Marfan's syndromeに原因する以外の場合殆んど合併するといわれており,年令の若い者程,高血圧を伴わない頻度が大である。大動脈狭窄の約10%は本症で死亡するという。粥状変性を原因と考える人もあるが,Burchell14)は,解離性大動脈瘤が粥状変性の辺縁部よりはじまる事は稀にあるが,普通は原因とは考えられないと述べている。Shennan16)の統計では218例の本症中2.5%のみに於いて内膜の破綻が粥状変性部に一致している。梅毒,大動脈弁膜症等が本症の原因になるという事は否定されている。
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