Japanese
English
症例
逆短絡を伴える動脈管開存症の1例
A Case of Patent Ductus Arteriosus with Reversal Shunting
田口 一美
1
,
小西 等
1
,
池田 容昂
1
,
高木 彬
1
Kazumi TAGUCHI
1
,
Hitoshi KONISHI
1
,
Yositaka IKEDA
1
,
Shigeru TAKAKI
1
1岡山大学医学部津田外科教室
1Department of Surgery, Okayama University Medical School
pp.644-647
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200535
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緒 言
心臓外科の進歩した今日,動脈管開存症は決して珍しい疾患とは言えない。吾々の経験のみでもその総数35例,手術例数20例に及んでいる。またその診断も比較的容易で,右心カテーテル法を行えばその約90%までは容易に診断が可能である。吾々はさきに報告したように,動脈管開存症で肺高血圧症の著しい時には雑音その他の症状も非定型的となり,診断も比較的困難となるのであるが,特に動脈管開存症の吾々の分類に従つて鑑別診断を行う時は,吾々の分類中のB3群に属するもの,すなわち全大動脈肺動脈短絡症のうち約8.8%に就いて精密な鑑別診断法を応用すれば少くとも臨床的には誤診を招くようなことはない。ここに報告する症例はこのような鑑別診断からB3群に属する動脈管開存症で,非定型的雑音と逆短絡による下半身のチアノーゼを伴い,右心カテーテル法で著しい肺高血圧症を証明し,さらに逆行性大動脈撮影法を行つてその診断を確認しえた症例で比較的稀な症例と思われるので報告する。
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