Japanese
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第6回綜合医学賞入選論文
左心房に於ける循環動態に関する研究(経皮左心房直接穿刺法)
Circulatory Dynamics of the Left Atrium (Direct Left Atrial Puncture)
藤本 淳
1
Kiyoshi FUJIMOTO
1
1大阪大学医学部第一外科
11st surgical clinic of Osaka University, Medical School
pp.785-800
発行日 1956年11月15日
Published Date 1956/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200431
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近代医学は種々の新しい研究方法の確立と共に展開されて来た。即ち,心肺循環に関する機能はCournand1), Dexter2)等による右心カテーテル法により新しい知見が加えられ,一方左心機能に関してはZimmermann3)等による動脈カテーテル法により解明せられて来た。とは云えこれらの方法にても容易に扉を開かなかつたのは左心房であつた。人体に於いて左心房の動態を知り得たのは僅かに心房隔壁欠損症の畸形を除いては非開胸状態では全く不可能であつた。勿論これが探求の一方法としてHellems4)等は"pulmonary capillary pressure"なるものをもつて,肺静脈ひいては左心房の様相を知ろうと努力し現在も一般に用いられている。然しこれも決して完全なものでない事は既に著者の指摘した所である5)。左心房が,臨床的に最も枢要な僧帽弁に接する故,左心房に於ける血行動態を把握する事が僧帽弁々膜症の本態を知る上に大切な事は多言を要しない所である。今日迄僧帽弁々膜症に対する臨床観察に関する文献は枚挙にいとまがないが,それらは病理所見を基としている為真実の姿を表わしていない場合が多く,不安定な材料をもつて互に評価し合つていた事は最近の心臓外科の進歩と共に明瞭になつてきた。
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