Japanese
English
原著
左心房圧曲線による僧帽弁弁膜症の分類—血液動態的考察
The Classification of mitral Uaitrilar Disease by the Left Auricular Pressure Curves.
藤本 淳
1
Kiyoshi FUJIMOTO
1
1大阪大学医学部第一外科教室
1Ist. Surgical Clinic, Medical School of Osaka University
pp.259-269
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200230
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Ⅰ.緒 言
僧帽弁弁膜症に対する臨牀観察並びに動物実験に関する文献は今日迄枚挙に遑がない。然るに現在迄僧帽弁弁膜症の病態生理に関して十分な解明を与えたものはなかつた。然しCournand1)等による心臟カテーテル法による循環の病態生理に関する研究の進歩と相まつて,僧帽弁狭窄症の弁口拡大術はHarken2)(Mitral Valvuloplasty), Bai—ley3),Brock4)(Mitral Commissurotomy)によつて確立されるに至つた。然して手術の進歩と共に僧帽弁の解剖と病理はHarken5), Brock6)の云う如く外科医の手によつて解明せられて来た。然し亦外科医が自ら拓いた病理解剖並びに病態生理を遂に応用して,之を外科手術の適応に迄もち来すことは必要なことである。事実,現在の僧帽弁弁膜症に対する外科手術の中で,僧帽弁狭窄症の輝しい成績に比し,閉鎖不全症の手術成績は不良で,後者の分野は外科医に解決を迫られている命題である。亦血液動態の面より考えると,僧帽弁弁膜に関する問題は,Wiggers7),Katz8),Opdype9)等の実験的研究をみるのみで,人間に於いては方法論が発表せられているに過ぎない。即ち之迄は肺動脈楔入圧10)(Pulmonary artery wedge pre—ssure)をもつて僧帽弁の血液動態を窺知しようとした程度であつた。
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