Japanese
English
原著
心肺性動態よりみたDiamoxの作用機序
The effects of "Diamox" on cardiopulmonary dynamics
楊 俊哲
1
Syuntetsu YOH
1
1慶応義塾大学医学部内科教室
1Department of Internal medicine, Medical School of Keio University
pp.691-697
発行日 1956年9月15日
Published Date 1956/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200416
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はしがき
サルフア剤の誘導体であるDiamox (2—Acetyl—amino−1,3,4—thiazole−5—sulfonamide)の利尿効果を利用して浮腫性疾患,就中,心性浮腫に使用して著効を得ているのは周知の如くである。利尿剤の他,眼圧降下剤あるいは制酸剤としても使用されて,その効果もある程度認められている。これらは何れも,Diamoxが全身到る所に存する炭酸脱水酵素(以下c. a.と略す)を抑制するためであり,この点より出発して,各場合場合の作用機序も,ほぼ解明されるに到つている。
最近心肺疾患殊に呼吸性アチドージスの改善にDiamoxを投与して,その効果を認める報告1)—14),17)が数多く見られるが,その作用機序については,c. a.を抑制する以外尚曖昧である。著者18)が以前に発表した如く,純理論的に考えると,腎上皮のc. a.が抑制されて,腎上皮と尿細管腔との間のイオン交換が障碍される結果,Na+, HCO3−の尿中排泄増加を来し,代謝性アチドージスを来すが,これが既存の呼吸性アチドージスに加わると,アチドージスが増強される筈である。又赤血球内のc. a.が抑制されて,Chloride shiftが阻害されると,CO2運搬に支障を来し,そのしわよせが組織のCO2蓄積となつて現れる事が予想される。以上の事は生体にとつて好ましい事でない事は当然である。
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