Japanese
English
特集 心肺性危機
心肺性危機
Cardio-pulmonary Emergency
美甘 義夫
1
,
村尾 誠
1
Y. MIKAMO
1
,
M. MURAO
1
1東京大学美甘内科
1Department of Mikamo's internal Medicine, Tokyo Univ.
pp.3-5
発行日 1956年1月15日
Published Date 1956/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200316
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心肺性危機(Cardio-pulmonary Emergency)という用語は余り使用されていないので,その概念についてあらかじめ考察しておきたい。従来もrespiratory emergencyないしcardiac emergencyという言葉は臨床的に用いられており,特に救急治療法に関連して用いられている様であるが,今日の肺及び心臓に関する病態生理学的立場より眺めるならば,此等の呼吸性危機ないし心性危機が純粋に肺性ないし心性の経過をたどることはむしろ稀であつて,多くの場合肺性要素と心性要素とが相互に影響しあつて,複雑な所謂心肺性危機の病像を作り出していることを知るのである。
純粋に呼吸性危機と呼ぶべき状態には,一つには喉頭・気管・気管支の異物による閉塞症状があり,二つには毒ガス吸入・小気管支炎・気管支喘息・肺炎等による汎発性の小気管支及び肺胞障害の症状があり,三つには灰白髄炎・重症筋無力症等における呼吸筋麻痺症状ないし肋膜滲出液貯溜による肺圧迫症状がある。此等は換気・拡散・呼吸メカニツクスの障害を主因として呼吸困難・窒息状態に陥入るものであり,それらの急性期は比較的純粋な肺性危機とみなすことが出来るが,これらのいずれの場合にも肺循環系の障害ひいては右室障害が惹起されうる。
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