Japanese
English
診療指針
心音について
Heart sounds and phonocardiography.
木谷 威男
1
,
難波 和
1
,
宮川 定吉
1
Takeo KITANI
1
,
Hitoshi NAMBA
1
,
Sadakichi MIYAGAWA
1
1大阪大学医学部第二内科
1The second Department of Internal Medicine, Osaka University Medical School
pp.432-439
発行日 1955年7月15日
Published Date 1955/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200260
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吾々の耳は非常に良好な性能を持つており,単に聴診器のみを以つてしても,よく心臟の病状を把握し,予後を洞察し得ることは,経験ある臨床家により,屡々指摘される処である。
しかし乍ら,こうした妙味も,聴覚を更に視覚と共に確実なものとし,絶えず耳の訓練を怠らぬ事が大切であり,従来心音の聴診は心雑音の辨別に限局せられていたきらいが少くないが,吾々はもつと広い意味で心音を理解する必要を感じる。貧血,脚気,急性腎炎,バセドウ氏病,急性熱性伝染病等のときの心音の変化と経過は,臨床医の特に心得ておらなければならない処である。又一方先天性心臟疾患時の特有な心音は,文字で表現出来ないことが屡々ある。こうした時に,心音の聴診と共に心音図を描写する事は大切なことである。殊に心臟外科手術や,肺切除術等の外科手術が心臟に及ぼす影響を考える時,ただ記憶にのみ止めた心音像ではなく,これをグラフとして記録する事は診療上甚だ有意義なことと考える。
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