Japanese
English
診療指針
電解質失調の面から見た「うつ血性心不全」の治療
Treatment of Congestive Heart Failure from the aspect of electrolyte disturbances.
日野原 重明
1
Shigeaki HINOHARA
1
1聖ルカ国際病院内科
1Medical Department of the St. Luke's International Hospital
pp.360-364
発行日 1955年6月15日
Published Date 1955/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200247
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
うつ血性心不全(Congestive heart failure)とは心臟性浮腫を主な症状とする慢性の心臟機能不全(又は循環不全)のことである。これに対する治療法としてはジギタリス等の強心剤の投与,水銀剤その他の利尿剤の投与,モルヒネ剤の注射,食餌中の食塩の制限などが古くから行われて来た。この中の食塩の制限については,1901年にAchard1)等が摂取する食塩と浮腫の間に相関関係があることを発表して以来一部の臨床家により関心が持たれたが,多くの臨床医はさほど重要に考えず,うつ血性心不全の処置には強心剤の投与が最も重要なものであると理解してきた。
しかし数年前頃からは厳格な減塩療法が本症の治療に重大視されて来て,この療法による著効例が報告されるようになつた。ところがそれと共に,このような治療を医師が度を過して行うことのために種々の電解質不平衡が人為的に招来されて,かえつて患者を苦しめたり死を早めたりする例が少くないことが最近特に注目されるようになつた。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.