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診療指針
低塩症候を伴う「うつ血性心不全」の治療
Treatment of congestive heart failure with low salt syndrome
日野原 重明
1
Shigeaki HINOHARA
1
1聖ルカ国際病院内科
1St. Luke's International Hospital
pp.615-618
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200530
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Schroeder1)が1949年に心不全患者について低塩症候Low salt syndromeという言葉をはじめて用いてから,この症候が心不全のみならず,種々の疾患にも起り得ることが諸家により注目されるに到つた。Schroederは取扱つた40人のうつ血性心不全患者の約三分の一にこの症候をみたという。彼によると,低塩症候を示す患者では,次第に乏尿となつて浮腫が増し,尿中のClの排泄量が減じ,血中非蛋白窒素が上昇し,水銀剤の利尿効果が喪失する。これ等の患者は全身倦怠感や虚弱感,傾眠状態,食思不良,悪心,嘔吐を訴え,又筋肉や腹部の痙攣を時に来し,次第に呼吸困難の度も増すという。これ等の患者のすべてに血清中のNaとClの低下がみられるために,低塩症候と名げけられたわけである。
細胞外液中のNaとClとは必ずしも平行しては変動せず,例えば低Cl性アルカローシスの如きはNa+は大して変らずにCl—が目立つて減少し,HCO3—が代償的に増すことになる。しかし,浮腫の形成にはNa+がCl—よりも重要な意義を有し,又低塩症候は低Na血状態によつて起る症候と一般には理解されている。
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