臨時増刊特集 診断基準とその使い方
I.循環器疾患
うっ血性心不全
戸嶋 裕徳
1
,
古賀 義則
1
1久留米大第3内科
pp.1652-1654
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207471
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概念
心不全は一般に「体組織が要求するだけの血液を心臓が十分に拍出しえない状態」と定義され,重症調律異常(急性心停止,心室細動など),急性心筋障害(心筋梗塞など),心臓性ショックなどによる急性心不全と,高血圧性心臓病,弁膜疾患など慢性心疾患による慢性心不全とに分類される.慢性心不全では静脈圧は上昇し,浮腫,うっ血肝などうっ血や水分貯溜症状を示すことが多いためにうっ血性心不全と呼ばれる.
うっ血性心不全は,その障害部位により,右心不全,左心不全に分類される.左心不全では僧帽弁,大動脈弁疾患,高血圧性・虚血性疾患など左心系,の障害により肺循環系のうっ血をきたすもので,咳,痰,労作性呼吸困難,発作性夜間呼吸困難,起坐呼吸,肺水腫などがみられる.右心不全は肺動脈弁,三尖弁疾患,肺気腫,肺高血圧症,進行した僧帽弁疾患などによる右心不全障害のために大循環系にうっ血を生じたもので,体静脈の怒張,肝腫大,腹水,浮腫などをきたす.また右心,左心が同時に犯されるか,左心不全に右心不全が続発する例もあり,両側不全と呼ばれる.
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