Japanese
English
原著
珪肺症の肺動脈造影像—肺血行力学との関連から見て
Pulmonary Artetiography in Silicosis:In relation to pulmonary hemodynamics.
上田 英雄
1
,
村井 信三
1
,
山手 愼吾
1
,
笠木 茂伸
1
,
高橋 幸男
1
,
齊藤 謙
2
Hideo UEDA
1
1東京慈恵会医科大学内科学教室
2尾去沢鉱業所病院
1Department of Internal Medicine, Tokyo Jikeikai Medical College
pp.109-112
発行日 1955年2月15日
Published Date 1955/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200208
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珪肺症の分類は臨床的には,1期,2期,3期,或は軽症,中等症,重症,の如く3期分類が行われている。その診断には(1)レ線像(2)臨床症状(3)職歴,の3つのことから判断するのが正道とされ,診断の主役を演ずるのはレ線像である。レ線像のみで病変の程度を表現する場合には1度,2度,3度,と言つているようである。2度,3度のレ線像の診断は全肺野の特有な珪肺結節により容易であるが,1度特にその初期のものはその変化が軽度であり且つ本症特有の変化ではなく,他疾患にも屡々みられるためその診断がむずかしい。一般にいわれている珪肺初期のレ線所見は,網状樹枝状の肺紋理の増強,肺門陰影の増大であり,その特徴は肺紋理辺縁の不整像,あるいは肺紋理増強部位が鎖骨下の上肺野外側方に於て左右対称にみられることであるが1),前述の様に本症特有の所見ではなく,珪肺結節の発現する前には他の疾患との鑑別がむずかしいとされている所以である。
我々は(1)珪肺初期診断の困難さを幾分なりとも容易にする,(2)珪肺症の進展にともなう肺血管像の変化を究めるという2つの目的で各期珪肺症患者(13例)に右心カテーテル法を行い,肺動脈造影(9例)肺動脈圧,肺小動脈抵抗測定等を行い,これらの結果と,胸部レ線像(単純)と比較し,多少の知見を得たので報告する。
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