Japanese
English
綜説
心電図のベクトル的解釈法について
On the vectorial interpretation of the electrocardiogram.
佐野 豊美
1
Toyomi SANO
1
1東京医科歯科大学医学部臨床生理学
1Clinical Physiology, Tokyo Medical and Dental University
pp.131-140
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200148
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緒言
陰極線オツシログラフを用いたベクトル心電図の研究はヨーロツパに於ては1936年のSchellong次いでHollmannのドイツの研究より,スイスのDuchosal,フランスのMilovanovichやJo—uve,ベルギーのVastesaeger等長い歳史がある。アメリカでも1938年Wilson1)等が額面図のベクトル心電図の研究を行つたのであるが,その後その一派は胸部誘導の完成に専念し,ベクトル心電図学は一時忘れられたかの感があつたけれども最近再び盛んになつて来た。飜つて日本に於いては既に約15年も前から木村登氏等がこの研究を続けられ,豊島氏等の幾多の業蹟も生まれたのであつたが,最近迄は特殊な研究として一般の注目を余り惹いていなかつた様である。所で最近のアメリカの趨勢に刺戟されてか,本邦各地で広く研究が行われ始めた様であるので,かゝるアメリカの趨勢の背景をなす思想を検討し,これと従来の心電図解釈法との相異より提起された種々の問題につき触れ,一応の私見も加えることにした。
何故アメリカに於いてベクトル心電図学が再び盛になつて来たかと云うと,心電図のベクトル的解釈法が最近勢を得て来たからである。これによりベクトル心電図学の研究を直接行つていないものでも広くこのベクトル的解釈法の簡便表現法としての斯学に興味を覚えているのである。
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