巻頭言
メスを執る内科医
篠井 金吾
1
1東京医科大学
pp.130
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200147
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臨床の科目がたくさんある中で,内科(小児科をふくめて)と外科がGrosse Fachとして人間の身体の殆んど全部に亘る様な広汎な領域を取扱つているが,この2つの科が厳存している理由は手術をするかしないかだけのことで,その内容を洗つて見ると最近では病気の種類による違いは殆どないといつてよい。
ところがKleine Fachと呼ばれる婦人科,耳鼻科,眼科,皮膚,泌尿科では取扱う範囲が限定されているので,1人で内科と外科を兼ねた様なことになつている。どの病気は藥だけで治療し,どの病気はどういう時期には手術をしなければならないという事が極めて円滑に無理なく行われている。ところが,内科と外科の間では兎もすれば領域争いとか,治療法に対する見解の相違が起り勝ちで,それが結局は患者の迷惑だけならまだしものこと,予後に迄関係して来る様なことにもなろう。
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