Japanese
English
綜説
腎循環
Renal Circulation
淺野 誠一
1
,
中澤 武雄
1
,
幸野 正平
1
1慶応大学医学部内科教室
pp.79-88
発行日 1954年3月15日
Published Date 1954/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200140
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1.緒言
腎は大きなエネルギー消費をしている。腎の重量は全身の1/163にすぎないが,そのO2消費量は全体の1/11に相当していて,安静時の腎1gの1分間に消費するO2(0.026ccmO2)は,1gの心筋のそれ(0.01ccm)の2倍以上であるという(Bar—croft & Brodie)。そして,腎の労作の際には,全体のO2消費の2.52%より11.75%にも上昇するが,腎血流量の変化が如何に之に与つているかは不明であつた。
従来は腎内の血液循環は比較的安定で全身循環及びその他の影響を受けることは少いと考えられていた。これは実際に腎内の循環血液量を測定したものではなくて,身体の代謝に与かる腎の重要任務のために体内的或は体外的異常状態に於ても,なお腎には十分の血液循環が行われて,その機能が完全に遂行できる様に調節されているであろうという合目的論的な考え方から出発しているものであつた。
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