Japanese
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診療指針
高血壓症の治療
Managements of High Blood Pressure.
齋藤 十六
1
1千葉大學醫學部第二内科
pp.38-47
発行日 1954年1月15日
Published Date 1954/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200135
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はしがき
今までに明らかにされたことからいうと,本態性高血壓症は,通常,精神・肉體的疾患であり,精神的障害は交感神經系を通じて,肉體にあらわれる。この神經衝動が神經性に脈管を收縮させ,それには,腎脈管床もふくまれる。腎脈管の收脈は腎から昇壓物質を血中に放出させる。腎性昇壓機轉—ReninおよびHypertensin—は急性高血壓症および急性腎乏血状態にはたらいている。しかし慢性高血壓症には,はつきり作用しているとはいえない。なお,慢性高血壓症にはたらいているといわれる他の機轉もある。たとえば,V. E. M. —V. D. M. の關係:Pherentasin,すなわち,ヒトの高血壓症だけにみられるといわれている昇壓物質:アミノ酸の酸化不足のために生じるアミン類これはヒトの高血壓症に増している:Norepine—phrme (Sympathin E),これも慢性高血壓の所見をあらわす。かような昇壓物質は,わたくしの知つているものだけでも,16種以上ある。しかし,それらのうち,あるものは同一であるともいわれ,また,ちがうともいわれている。かような現況であるから,やはり,本態性高血壓症の原因は,まだ確定されたとはいえない。かような病態にたいして,われわれは,治療といえるほどのものをもたない。現在,ほとんど經驗的といつてもいゝすぎではない程度の所置がおこなわれている。
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