発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906939
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血壓とは 血壓には動脈血壓の他に,靜脈血壓,毛細管血壓があるが普通單に血壓といえば動脈血壓のことをいう。血管内を血液が流れるためにはある程度の血壓が必要であつて,しかもそれは水が高所から低所に向つて流れるのと全く同じく,左心室から大動脈に血液が搏出される大動脈起始部では最も高く,末梢に行くに從い漸次低くなる。即ち大動脈起始部における收縮期(最高)血壓は140〜150mmHg,上膊動脈では120mmHg前後,橈骨動脈では90mmHg前後,細動脈では45mmHg前後,毛細管では12〜20mmHgである。靜脈内では毛細管血壓より少しく低い程度である。
動脈血壓には收縮期血壓(最高血壓ともいう)と擴張期血壓(最低血壓ともいう)がある。收縮期血壓というのは心臟の收縮期に當つて心室から搏出される血液が動脈を傳つて流れるときの血壓で,擴張期血壓というのは心室の擴張期に當つて動脈内に存在する壓をいい,一つの動脈については一番血壓が低いときである。收縮期血壓から擴張期血壓を差引いたものを脈壓といつて,血管内の血壓動搖の幅を示し,また收縮期血壓と擴張期血壓を加えて1/2したものを中間血壓といつて,動脈内に働く血壓の平均と見做される。脈壓は末梢血管に行くに從つて次第に小さくなり,細動脈まではまだ脈壓がある即ち脈搏を呈するが,毛細管では脈壓は零になる。即ち毛細管では最早脈搏を呈しない。
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