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特集 内科医が診る 大人になった先天性心疾患―Adult Cogenital Heart Disease(成人先天性心疾患)
Eisenmenger症候群の系統的合併症の対応も含む最近の治療
Treatment and Care of Eisenmenger Syndrome
犬塚 亮
1
Ryo Inuzuka
1
1東京大学医学部附属病院小児科
1Department of Pediatrics, Graduate School of Medicine, University of Tokyo
pp.224-228
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102169
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はじめに
Eisenmenger症候群とは,心室中隔欠損症などの本来左右短絡を起こす先天性心疾患を有する患者において,重度の肺動脈性肺高血圧症が進行した結果,右左短絡を生じた状態である.右左短絡によるチアノーゼおよび二次性赤血球増多症に伴う全身合併症を特徴とする(表1).肺血管は,内膜の線維性肥厚の所見を認め,非可逆的である.内膜の線維性肥厚が高度になると,血管壁への酸素供給が断たれるため中膜は壊死に陥り,動脈瘤のように突出して叢状病変と呼ばれる閉塞性肺血管病変の完成像を呈する.Eisenmenger症候群の状態になると,外科手術は禁忌である.従来は内科的治療の選択肢も限られていたが,近年の病態生理学的な知見の増加や肺血管拡張療法などの進歩などにより,Eisenmenger症候群の診療は近年変わりつつある.
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