肺移植における周術期・遠隔期の課題 感染・拒絶反応・循環の管理
Eisenmenger症候群に対する肺移植における周術期・慢性期の循環管理
舟木 壮一郎
1
,
新谷 康
,
南 正人
,
上野 高義
,
戸田 宏一
,
澤 芳樹
,
奥村 明之進
1大阪大学 呼吸器外科
キーワード:
Ciclosporin
,
Eisenmenger症候群
,
Steroids
,
胸部X線診断
,
血液循環
,
心エコー図
,
多剤併用療法
,
肺移植
,
放射性核種イメージング
,
利尿剤
,
心電図同期心血流イメージング
,
Brain Natriuretic Peptide
,
周術期管理
,
Carvedilol
,
Mycophenolate Mofetil
Keyword:
Blood Circulation
,
Eisenmenger Complex
,
Echocardiography
,
Drug Therapy, Combination
,
Diuretics
,
Mycophenolic Acid
,
Radionuclide Imaging
,
Steroids
,
Radiography, Thoracic
,
Gated Blood-Pool Imaging
,
Cyclosporine
,
Lung Transplantation
,
Natriuretic Peptide, Brain
,
Perioperative Care
,
Carvedilol
pp.911-914
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017028490
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30歳代男。7歳時に心室中隔欠損(VSD)、二次性肺高血圧症(PH)を指摘され、保存的治療を受けるも改善せず、肺保護目的に右肺動脈絞扼術が行われた。20歳頃より血痰、労作時呼吸困難、血中酸素飽和度の低下を認め、30歳より酸素療法を開始し、今回手術目的で入院となった。臨床経過および術前検査結果より、VSDに合併したEisenmenger症候群と診断し、脳死両側片肺移植術+VSDパッチ閉鎖術を施行した。術後は薬剤性肺炎や右気胸を発症し、退院までに術後10ヵ月を要した。術後の心機能所見では、血清BNP値は術前より終始高値を示し、いったん減少したものの再度上昇を認め、依然高値を示している。心エコーで左室駆出率(LVEF)は術後2年目までは徐々に改善したが、その後は徐々に低下している。心プールシンチグラフィでは右室駆出率は改善傾向を示しているが、LVEFは50%前後で推移している。呼吸機能所見では、酸素化は良好であり、6分間歩行試験は術前と比較して改善し、現在はフルタイムの仕事に復帰している。
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