to the Editor
―Eisenmenger症候群に対する麻酔管理について―non-responderではPH crisisにならぬよう,細心の注意を
萩平 哲
1
,
入嵩西 毅
1
1大阪大学大学院医学系研究科 麻酔・集中治療医学教室
pp.817
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102210
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LiSA 2014年5月号の症例検討「Eisenmenger症候群患者に対する非心臓手術は決して禁忌ではない」1)を興味深く拝見しました。Eisenmenger症候群を合併しているからといって必ずしも麻酔や手術が禁忌ではないというのは,その通りだと思います。ただ,肺高血圧症(PH)を合併する患者の麻酔には,非常に繊細な管理が要求されますし,PHの程度によっても管理方針は異なります。 本文中に,麻酔の手順⑦「術中は肺血管抵抗を下げるに尽きる」とありますが,一概にはそうとは言い切れません。肺血管抵抗を変化させる薬物や酸素吸入,一酸化窒素(NO)吸入などにより肺血管が反応するようなresponderの場合には,これは適切です。肺動脈圧と体動脈圧の比が0.8程度以下である場合の多くは,このresponderに相当すると考えられます。しかし,PHがさらに重症になり,肺動脈圧と体動脈圧の比が1.0前後になっているような場合には,もはや肺血管抵抗はほぼ固定されてしまっており,上記のような方法を用いても肺血管抵抗を下げることはできません。「狭義の」Eisenmenger症候群とは,このような状態を指します。原発性肺高血圧症(PPH)の末期も同様の病態です。本文中のnon-responderは,これに相当します。
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