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特集 糖尿病と心血管疾患:インクレチン導入後を検証する
インクレチンは心血管事故の予防に有用か?
Effect of Incretin-related Drugs to Cardiovascular Events in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus
松永 和雄
1
,
野出 孝一
2
Kazuo Matsunaga
1
,
Koichi Node
2
1伊万里有田共立病院
2佐賀大学医学部循環器内科
1Imari Arita Kyoritsu Hospital
2Department of Cardiovascular Medicine, Saga University
pp.47-51
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102133
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はじめに
近年,糖尿病患者は,生活スタイルの変化に伴い増加の一途であり,そのため糖尿病専門医以外が糖尿病治療に関わる機会が多くなっている.特に2型糖尿病においては,治療の目標が血糖値の改善のみでなく心血管病の発症予防が重要である.糖尿病治療薬は,インスリン抵抗性改善系とインスリン分泌促進系,および食後高血糖改善系に大別されるが,循環器に携わる医療関係者は糖尿病の発症初期からの治療介入が不可欠であり,病態に合わせた治療薬の選択が必要である(図1).インクレチン製剤DPP-4(dipeptidyl peptidase-4)阻害薬とGLP-1(glucagon-like peptid-1)受容体作動薬の国内使用が可能になり,糖尿病の治療は様変わりしつつある.インクレチン作動薬は低血糖を起こさない良好な血糖コントロールが可能であるうえに,数々の抗動脈硬化作用が期待されている.本稿では今どのようなエビデンスがあるのか,心血管系への直接的な保護効果や脂質代謝,アディポサイトカイン分泌動態など抗動脈硬化についても最近の知見について述べる.
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