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特集 心血管病における免疫機構の関わり―循環器医が知っておきたい知識
心血管病と歯周病との関わり
Association between Cardiovascular Disease and Periodental Disease
和泉 雄一
1
,
青山 典生
1
Yuichi Izumi
1
,
Norio Aoyama
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野
1Department of Periodontology, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University
pp.1137-1143
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102087
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はじめに
歯科疾患と全身疾患が関連しているという認識が,広く浸透してきている.そもそも口腔は消化器系・呼吸器系にも関連する組織であり,これまでわが国で行われてきたような「口腔の疾患は歯科医が,全身の疾患は医師が担当する」という考え方に限界があることは,考えてみれば明らかである.そのなかで特に,歯周病と心血管病との関係が注目されている.心血管系疾患はわが国における3大死因(悪性新生物,心疾患,脳血管疾患)のうち心疾患と脳血管疾患に関わる,致死的な疾患である.「歯周病が死を早める」という話題は一般の国民にも分かりやすく,特に最近は非常に多くのメディアで取り上げられ,目にする機会が多くなってきている.
心血管系疾患による死亡者の多くが中高年者であり,心血管系疾患の予防・治療が今後ますます高齢化へと向かう日本の医療の重要な課題であることは明らかである.重度の歯周病罹患者が中高年者に多いこともあり,歯周病が心血管系疾患にどのように影響するかを解析することは,現在われわれ歯科医に求められている主要なテーマの一つである.本稿では,現在までに得られている歯科疾患と心血管病を関連させる科学的知見について,主に免疫学的な観点から報告する.ただし,歯科疾患と全身疾患との関連が指摘され始めたのは近年のことであり,詳細な関連メカニズムや免疫機構が解明されているとは到底言えないというのが現状である.そこで,歯科疾患,特に歯周病における免疫機構を解説していくとともに,歯科疾患と心血管疾患との関連について既知の知見を詳述していくことにより,口腔と全身との関連において考えられるメカニズムを考察していきたい.
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