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はじめに
膠原病は1942年にKlempererが,従来の臓器別の疾患概念に対して全身の結合組織と血管に病変の主座を有する疾患として提唱した概念であり,diffuse collagen diseaseないしcollagen vascular diseaseを翻訳した用語である1).当初は急性リウマチ熱(acute rheumatic fever;ARF),関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA),全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE),強皮症(systemic sclerosis;SSc),多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis;PM/DM),結節性動脈周囲炎(periarteritis nodosa;PN)の6疾患を指し,これらを古典的膠原病とも呼ぶ.その後これらの疾患の病態,病因の解析が進むとともに,臨床的類似性,病態の共通性を有する疾患が新たに見出され,現在ではさらにいくつかの疾患が膠原病類縁疾患として認識されている.
一方,基礎医学における免疫学,分子生物学研究の進歩に伴い,多くの膠原病の病態に免疫異常が関与することが明らかにされてきた.膠原病と自己免疫疾患は厳密には異なる概念であるが,古典的膠原病および類縁疾患の病態形成に免疫調節機構の異常に基づく自己免疫現象が関与することは確実視されている.すなわち膠原病の病態形成において免疫機構は「主役」に相当し,その理解と制御は疾患の管理に直結することが期待される.本稿では,古典的膠原病または類縁疾患と分類される疾患のなかで特に心血管病変を来すものに焦点を当て,その免疫学的機序について解説するとともに,まだ明らかになっていない問題とその解決のための展望についても言及したい.
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