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心血管病の進展や制御において免疫機構は重要な役割を演じている.また,この免疫機構は,心血管以外の臓器や全身性疾患から強く影響を受けている.この連関の解明は,盛んな研究により日進月歩であるが,その一方まだ不明な部分も多い.実際,循環器診療に携わる医療者は,この連関の重要性を認識はしていても,その膨大な情報量のために十分にフォローできていないのが現況ではないだろうか.この特集では,循環器科以外の専門家より,循環器疾患に影響している疾患や病態について,免疫機構を中心に最新の知見を概説していただいた.
まず,内科からは,内分泌代謝疾患,膠原病,および腎臓病の3分野よりご執筆いただいた.内分泌代謝疾患の小川先生と七里先生には,特に糖尿病を中心に,大血管および細小血管障害について大規模試験と最新の研究結果をご紹介いただいた.図に示されたように,糖尿病領域における心血管病の発症,進展に関与する様々な情報伝達経路は,免疫機構による重要なシグナル伝達経路と共通部分が多いことから,これらの制御方法の解明が両者の予後改善につながると期待される.膠原病の小池先生には,特に急性リウマチ熱および血管炎症候群について詳細に解説していただいた.これら古典的膠原病と循環器疾患の関連は,免疫学の進歩とともに病態が解明されてきたが,まだ治療上の問題は残されており,免疫学的視点から問題点を整理する必要性が強調された.腎臓病の山崎先生には,現在広く認識されるようになった心腎症候群を中心に解説していただいた.この病態においては,酸化ストレスや微小炎症などが共通の因子として働いており,これらの制御が予後改善につながる可能性があることを示していただいた.
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