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特集 大震災と循環器・呼吸器疾患
震災と心不全,たこつぼ型心筋症
Earthquake and Heart Failure, “Takotsubo” Cardiomyopathy
青木 竜男
1
,
福本 義弘
1
Tatsuo Aoki
1
,
Yoshihiro Fukumoto
1
1東北大学大学院医学系研究科循環器内科学
1Department of Cardiovascular Medicine, Tohoku University Graduate School of Medicine
pp.911-916
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102042
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はじめに
東日本大震災は宮城県沖を震源とし,日本で生じた地震では最大級のマグニチュード9.0を記録した.これにより東北地方を中心とした東日本は多大なる被害を受け,特に太平洋沿岸地域では津波による被害が著しく,壊滅的な打撃を受けた.震災から約1年が経過した2012年4月25日現在の被害状況は,死者15,857人,行方不明者3,057人,負傷者6,029人であり,近年生じた大震災と比較しても,その被害は過去最大級である(表1).
実際に被災地では,地震により道路や鉄道が大被害を受け,物流の停止や食料不足に加え,電気・水道・ガスなどのライフラインの寸断が深刻であった.停電戸数は480万戸以上(東北電力管内)1),断水は約180万戸2),ガス停止戸数は45万戸3)に上り,被害が大きかった地域では復旧までに多くの時間を要した.
このような大規模な震災の後,様々な心血管疾患が増加したとの報告が相次いでいる.本稿では,これまで報告のなかった震災後心不全の増加と,新潟県中越地震後に増加したとされるたこつぼ型心筋症について概説する.
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