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全身性疾患としての睡眠時無呼吸症候群
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome;OSAS)は,睡眠中に上気道が閉塞して生体が間欠的低酸素血症に曝される病態である(図1).「低酸素」と言っても,持続性の低酸素と間欠的低酸素は,その生物学的意味が全く異なる.健常人では高山に登るときに持続性の低酸素に曝露される.呼吸器疾患患者では,進行したCOPDなどでは慢性の低酸素血症を呈する.一方,睡眠時無呼吸症候群の低酸素は繰り返す低酸素血症である(図2).高濃度酸素では酸化ストレスが問題になるが,低酸素がなぜ酸化ストレスなのか? 繰り返す低酸素血症では,室内気にも頻回に戻る.このときに酸化ストレスが発生すると想定されている.この酸化ストレスがおそらく契機となり,血管系を含む全身諸臓器に影響し,睡眠時無呼吸症候群にみられる種々の表現型をとり,診療上問題になってくると考えられる.本特集の話題はすべて「睡眠時無呼吸症候群に関係した全身性疾患の部分症」とも言い換えられる.
睡眠時無呼吸症候群における繰り返す低酸素血症に関係したキーワードは,酸化ストレスと炎症である.これに肥満が加わると,間欠的低酸素血症はレプチン耐性・インスリン耐性に相乗効果的に働き,睡眠時無呼吸症候群の表現型である高血圧症,虚血性心疾患,メタボリックシンドローム,糖尿病などに繋がる.これらの基礎病態は,「間欠的低酸素による生体の炎症反応」である.持続性低酸素時の細胞での酸素利用と,間欠的低酸素時の細胞での酸素利用は異なると推定される(図3)1).これはあくまでも模式図であり,間欠的低酸素血症の程度・持続期間などにより,その反応性は異なってくるはずである.
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