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特集 生活習慣と心腎連関
腎性貧血と心腎連関
Renal Anemia and Cardiorenal Syndrome
今井 圓裕
1
Enyu Imai
1
1名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学
1Department of Nephrology, Nagoya University Graduate School of Medicine
pp.723-733
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102004
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はじめに
慢性腎臓病(CKD)が進行すると心臓の機能も低下し,心不全を合併するようになる.一方,心不全が進行すると腎機能の低下を来す.このような関係を心腎連関(cardiorenal syndrome)という.CKDは相対的なerythropoietin産生低下による腎性貧血が合併するが,心不全にも貧血が合併し,この原因として慢性炎症とレニン・アンジオテンシン系活性化が関与することが示唆されている.貧血とCKDと慢性心不全(CHD)は互いに影響を及ぼし悪循環を形成することから,この3つの疾患の関係をCardio-Renal-Anemia(CRA)syndromeとして捉える概念がSilverbergにより提唱された1).心腎連関にさらに貧血の重要性を加えたCRA症候群は進行したCKD(ステージ4,5)の病態を表現するには最も適したものと考えられる(図1).貧血が心不全の原因となることは,古くから多くのエビデンスがあるが,心不全が貧血を起こす原因については最近の研究にて明らかにされつつある.本稿では,主に貧血とCKDの関連,貧血と心不全の関連,さらに治療によって貧血を改善したときにCKD,あるいは心不全が改善するかどうかについて,臨床試験の結果を概説する.
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