Japanese
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特集 血管の非侵襲的な評価法のインパクト―その意義と最新研究
頸動脈エコー
Carotid Ultrasonography
滝内 伸
1
,
楽木 宏実
2
Shin Takiuchi
1
,
Hiromi Rakugi
2
1東宝塚さとう病院循環器科
2大阪大学大学院医学系研究科老年・腎臓内科学
1Department of Cardiology, Higashi Takarazuka Satoh Hospital
2Department of Geriatric Medicine and Nephrology, Osaka University Graduate School of Medicine
pp.899-906
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101541
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はじめに
脳血管・心血管疾患などの動脈硬化性疾患は高血圧・糖尿病・脂質異常症・慢性腎臓病(CKD)などの生活習慣病の重篤な合併症であり,予後を規定する因子である.そのため,それぞれの診療・治療ガイドラインでもその早期診断・治療対策の重要性が認識されるようになっている.動脈硬化性合併症の対策としては,基礎となる高血圧・糖尿病・脂質異常に対する生活習慣の是正や厳格な管理目標への到達が中心となるが,この際に病変の進行や治療効果を評価するための非侵襲的な血管病検査法が必要となる.
頸動脈は冠動脈とならび全身の血管のなかでも動脈硬化が早期より進行する血管であるが,冠動脈とは異なり皮膚直下を走行することにより高周波エコー評価に最適な血管である.高周波エコーを用いることができるということは分解能の高い画像が得られるということであり,血管の構造や性状の微細な変化を検出できるということである.
虚血性脳血管障害は細動脈硬化に基づくラクナ病変と粥状性動脈硬化に基づくアテローム血栓性病変に大別される.頸動脈はアテローム性動脈硬化の好発部位であり,そのプラークの有無や性状,および重症度評価は脳血管障害のリスク判定において重要である.また頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)の肥厚は心筋梗塞・脳梗塞発症と密接な関係が報告されており,全身の動脈硬化度推定の評価になりうると考えられ,IMT測定の重要性が注目されている1,2).
本稿では,頸動脈エコー検査の評価項目およびその意義を最新の知見を交え概説する.
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