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はじめに
心臓CTの普及に伴い,その有効性や活用法に関してのガイドラインがいくつか作られるようになっている.日本でも,2009年12月に東京医科大学の山科章教授を委員長として日本循環器学会2007-2008年度合同研究班報告「冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン」が発表された1).このガイドラインは,1.安静時心電図,2.運動負荷心電図,3.心エコー図,4.心臓核医学検査,5.冠動脈CT,6.心臓MRなどの検査法の概要と冠動脈病変評価における位置付けを論じたものである.
国際的にはAHAのScientific statement2)やACCのガイドライン3),Asian Society of Cardiovascular Imaging(アジア心臓放射線学会)4)のガイドラインなどがある.心臓CTやMRの臨床における有効性や疾患ごとの適応の妥当性を論じたものである.一般的に,ガイドラインは,multicenter study, randomized trial,cost-effective studyといったevidence levelの高い論文を検討して作成されていく.しかし,心臓CTのように進歩の早い検査法においては,このようなevidence levelの高い研究が十分なされる前に新しい手法が登場するために,十分なevidence levelの論文を得ることが困難になっている.このため,専門家の意見を統合したappropriate criteriaという評価法が用いられていることが多くなっている5).しかし,この手法は1つの検査法については適応できるが,複数の検査法の位置付けを論じる場合には適応するのが難しい.そこで,日本循環器学会のガイドラインにおいては,有効性の推奨基準としてCTに関しても従来のクラス分類およびエビデンスレベルが用いられている.
日本循環器学会ガイドラインは,総論と各論の二部構成になっている.第一部の総論では,虚血性心疾患診断に用いられる主な非侵襲的検査法の概要,虚血性心疾患診断における特徴と問題点,その有用性を活かせる病態が解説されている.第二部の各論では,様々な病態について,それぞれの検査法の有用性,問題点を挙げ,診断の進め方について記載されている.
本稿では,日本循環器学会ガイドラインの第二部各論に準拠して,“冠動脈CTの各病態における有効性”と“虚血性心疾患診断における冠動脈CTの位置付け”について記載する.
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