Japanese
English
特集 冠動脈画像診断の進歩―冠動脈CTの現状と将来
序文
Foreword : Coronary Imaging by Cardiac CT―State of the Art
栗林 幸夫
1
Sachio Kuribayashi
1
1慶應義塾大学医学部放射線診断科
1Department of Diagnostic Radiology, School of Medicine, Keio University
pp.453
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101471
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冠動脈の画像診断法としては,カテーテルを用いた冠動脈造影(coronary angiography;CAG)がこれまでgold standardとされてきたが,侵襲的方法であるとともに,画像としても造影剤の投影像のみを見ている方法なので限界があった.これに比して冠動脈CTでは,非侵襲的にCAGに匹敵する冠動脈内腔の情報が得られて高い診断精度を有すること,さらに加えてプラークや石灰化を含めた冠動脈壁の形態および性状を画像化できるという大きな特徴がある.
CTの冠動脈領域への応用は,1998年に体軸方向に多数の検出器列を有するMDCT(multidetector-row computed tomography)の登場によって本格的に始まり,心電図同期撮影法の開発と相まって臨床で応用されるようになった.その後CT機器は急速に進歩し,2004年には64列CTが登場した.64列CTは,ビーム幅の拡大,ガントリ回転速度の向上,三次元画像再構成アルゴリズムの導入により,それまでのCTに比べて撮影時間の短縮,時間分解能の向上による画質改善,心電図同期下の広範囲な撮影,造影剤の減量,そして冠動脈狭窄の診断精度の向上など様々な利点をもたらし,冠動脈領域への臨床応用が急速に普及した.
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