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耳鼻咽喉科・頭頸部外科が「命と機能を守る外科」と称されるように,耳鼻咽喉科を目ざす研修医・専修医,そして若手耳鼻咽喉科専門医にとって耳鼻咽喉科手術は診療の基本であり,その繊細で多彩な手術手技をマスターすることは大きな目標です。誰もが憧れのスペシャリストの手術手技にいかに近づき,いかに追い越すかを目ざして日々研鑽を積んでいます。耳鼻咽喉科・頭頸部外科では,耳,鼻,口腔・咽頭,喉頭,気管・食道などに加えて頭蓋底から縦隔に至る頭頸部全般を守備範囲としていますが,これらの広く複雑な臓器を対象とする耳鼻咽喉科手術の醍醐味は,マクロでダイナミックな手術から内視鏡を応用しロボット手術にもつながるハイテク手術,米粒に文字を書くようなきわめて繊細で緻密な顕微鏡手術まで,多くのモダリティを駆使した多彩な手術手技を要することです。このような繊細で多彩な手術手技をマスターすることは容易なことではなく,すべての手術のスペシャリストから指導を受ける機会に恵まれた若手耳鼻咽喉科医も多くはないと思います。このため,これまでも多くの耳鼻咽喉科手術書が出版され,スペシャリストの代役を担ってきました。
このたび,「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」の増刊号として「こんなときの対応法がわかる 耳鼻咽喉科手術ガイド」を企画し,各耳鼻咽喉科手術のスペシャリストに執筆をお願いしました。本企画ではこれまでの一般的な耳鼻咽喉科手術書とは異なり,経験豊かなスペシャリストの手術のコツが学べるように,「こんなときの対応法」として代表的な症例を呈示していただき,その症例における問題点をポイントとして挙げて,豊富な経験に基づいたスペシャリストとしての対応法を解説していただくという構成にしました。まさに手術に際して困ったときや迷ったとき,予期せぬ対応が求められたときにも活用できるすばらしい手術ガイドになったと思います。
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