巻頭言
不整脈薬物治療を考える
新 博次
1
1日本医科大学多摩永山病院
pp.349
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101461
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不整脈への認識は歴史的にも古く,既に2~3世紀には,脈診から脈の乱れているもの(不整脈患者)は予後が悪いことが知られていた.19世紀中頃には,キニジンが心房細動停止目的に使用され,以後,長い間,効率的な不整脈治療薬が求められてきた.
今日,わが国で使用されている抗不整脈薬の多くは1980年以後に開発された薬剤であり,当時はいかに効率よく不整脈を抑制するかが課題であった.心房細動など頻脈性不整脈発作を停止させ,そのトリガーと考えられた期外収縮を可能な限り減少させる努力がなされ,抗不整脈薬が盛んに使用された.しかし,この時期に施行されたCAST(Cardiac Arrhythmia Suppression Trial)では,予想に反し抗不整脈薬がかえって死亡率を増加させた結果となり,不整脈薬物治療に警鐘が鳴らされた.
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