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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅲ.代謝的に作用する薬物
代謝回転に作用する薬物
システイン前駆体(システイン増加剤)
Cysteine precursors
藤田 道也
1
Michiya Fujita
1
1浜松医科大学生化学第2講座
pp.513
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900280
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「概説」
システインはふつう食物に由来するか,体内ではメチオニンの硫黄転移によって生じる。システインはアミノ酸であるからタソパク質の構成成分として重要なのは当然であるが,脳におけるシステインに興味がもたれるのは,1)ある種の神経薬剤に対するその保護作用と,2)それ自体のもつ毒作用,のためである。1)としては,amphetamine(およびp-chloroamphetamine)の投与によるドーパミン減少や6-hydroxydopamineの障害作用に対するシステインの保護作用があげられ,2)としてはシステインの投与による幼若マウス網膜・視床下部の壊死,脳の萎縮,嗜眠・けいれんなどの誘発があげられる。このようなシステインの毒作用の一部は細胞外で起こる可能性があり1),また細胞外でのSH基の酸化を防ぐ意味でも細胞内に達して初めてシステインに転化するような前駆体が望まれる。
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