追悼
石坂彰敏君の早すぎる死を悼んで
小川 聡
1,2
1国際医療福祉大学三田病院
2慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
pp.230-231
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101432
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2009年9月20日未明,慶應義塾大学医学部呼吸器内科教授の石坂彰敏君(慶大医学部昭和55年卒)が54歳という若さで逝去されました.石坂君は,永年ともに苦労しながら慶應の呼吸循環器内科を築いてきた本当に良き仲間でした.本誌「呼吸と循環」の編集委員としても一緒に活動してきました.石坂君は明るい性格の持ち主で,話の良く判る信頼できる後輩でしたので,突然の別れに接し,大きな悲しみと無力感に襲われています.思い返せば,石坂君の病との闘いは今から12年前に遡ります.肝硬変による腹水と黄疸のため入退院を繰り返していた彼に残された唯一の治療法が肝移植でした.私も肝移植を受けることを薦めた一人でした.当時の世界的権威Neuhaus教授を頼って訪独し,手術を受けたのが1997年6月でした.手術は大成功で,見違える様な健康体で帰国した彼の姿が今でも瞼に浮かびます.持ち前の明るさも戻り,「肝移植を受けた医師」と自ら名乗り,自己の体験を生かした講演が評判でした.
帰国後は大学での激務を避け,隣接する東京電力病院に勤務しましたが,周囲の心配を吹き飛ばす様に精力的に活動を再開して皆を喜ばせました.そして気管支鏡下でのマイクロサンプリングプローベを開発して国内外で特許申請をしたのもこの頃でした.慶應在籍の若手呼吸器医師の研究指導にも力を尽くし,多くのトップジャーナルに彼らの学位論文が掲載されました.
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