追悼
友の死を悼む
大柴 三郎
1
1大阪医科大学第2内科
pp.1379
発行日 1984年12月25日
Published Date 1984/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109534
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筆を執ると虚しい言葉が紙面に残り,何も言いたくない.親友を失った哀しみよりも先生を奪った病魔への憤りが胸に滾る.共に語り,歌い,喜び,哀しみ,笑った先生は不帰の人となってしまった.
顧みれば昨年8月,突然吐血に倒れたとの報に接し病床を訪れた私を,先生は普段と変わらぬ笑顔で迎えてくれたが,“柴さん,小さいけれどBorrmannなんだよ”と知っていた.淋しい笑顔にあわてて話題をそらした記憶が生々しい.以前より肝障害のあった先生にはいつもこう言った.“先生がいなくとも医学はそんなに遅れない.先生がいなくてならないのは家庭と大介君だ.長生きしろよ.”なぜもっと長生きをしてくれなかったのか.
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