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はじめに
動脈硬化の発症リスクには,従来から古典的リスクファクターである高血圧,脂質代謝異常症,糖尿病,喫煙などが評価され,予防および治療の対象とされてきた.
近年,動脈硬化の発症と進展には炎症が大きく関与していることが明らかになり,心血管イベントの発症と炎症マーカーについての疫学研究や介入試験が行われてきた.2000年にRidkerらが,閉経後女性を対象にしたWomen's Health studyのデータを用いて心血管イベントと様々な炎症マーカーの関係を解析したところ,高感度CRPが最も強いイベント発症予測因子であった.また,LDLコレステロールと高感度CRPの値で心血管イベント発症リスクを評価し,National Cholesterol Education Program(NCEP)が一次予防の目標値としたLDLコレステロール130mg/dl以下の群でも,高感度CRPの値と正の相関で心血管イベント発症リスクが増加することを報告した(図1)1).
また,Women's Health studyのデータをLDLコレステロールと高感度CRPの値(中央値比較)で群分けした報告では,「LDLコレステロール高値かつ高感度CRP高値群」が最もイベント発症が高く,双方とも低値群では最もイベント発症が低い結果であった.また,「LDLコレステロール低値かつ高感度CRP高値群」と,「LDLコレステロール高値かつ高感度CRP低値群」を比較すると,前グループでよりイベント発症リスクが高い結果であった(図2)2).
これらの疫学研究を背景として,JUPITER試験(Justification for the Use of Statins in Prevention:an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin)3)が行われた.
現在のガイドラインでは治療の適応とされていないが,LDLコレステロールが正常値であっても高感度CRPが高値である場合には,スタチン治療を行ったほうがよいのか,その一次予防効果が検討された.
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