Japanese
English
Bedside Teaching
少量アスピリン療法の実際
Practical Low-dose Aspirin Therapy
副島 弘文
1
,
小川 久雄
2
Hirofumi Soejima
1
,
Hisao Ogawa
2
1熊本大学保健センター
2熊本大学大学院医学薬学研究部循環器病態学
1Health Center, Kumamoto University
2Department of Cardiovascular Medicine, Graduate School of Medical Sciences, Kumamoto University
pp.81-87
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101410
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はじめに
虚血性心疾患や虚血性脳動脈疾患の抗血栓療法としてのアスピリンの有用性は確立している.海外での臨床試験にそのエビデンスを依存している所も多いが,近年日本人を対象にした臨床試験のエビデンスも報告されている.本稿では筆者らが行った急性心筋梗塞後の患者に対する少量アスピリン療法の効果について解説する.また,最近の報告では,心血管系疾患が糖尿病患者の死因となる率は非糖尿病患者の死因の3倍以上とされており,さらに糖尿病患者の心血管系疾患の発症率は心血管系疾患の既往を有する患者と同等とされている.
海外において糖尿病患者に対するアスピリンの効果についての臨床試験がいくつか報告されているが,その効果は明らかではない.日本人の糖尿病有病率は急速に伸びてきており,いかに糖尿病患者を管理し,心血管イベントを治療・予防していくかは今日の日本における最重要課題の一つといえる.そこで筆者らは,日本人糖尿病患者における動脈硬化性疾患に対する少量アスピリンの有用性を検討したJPAD研究を行ったが,その有効性についても本稿で解説する.
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