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はじめに
1985年に健康保険適用となった在宅酸素療法(HOT)は現在全国で13万人以上が利用している.2005年に発表された在宅呼吸ケア白書(約2万人の患者調査)によると,慢性閉塞性肺疾患(COPD)が48%,肺結核後遺症が18%,肺線維症・じん肺などが15%と,呼吸器の疾患がほとんどを占めている.さらに肺癌が全体の5%と増加しており,HOTが在宅での肺癌ターミナルケアにおいて一般的に行われていることがうかがえる1).COPDに対する長期在宅酸素療法(LTOT)の効果では,アメリカでのNocturnal Oxygen Trial(NOTT)2),イギリスでのMedical Research Council(MRC)Trial3),本邦でも厚生労働省特定疾患呼吸不全調査研究班4)において,約6年間の観察上,生存率の延長が報告されている.生存率が延長した大きな要因としては,肺高血圧の進行の予防,特に低酸素性の血管攣縮の防止が関わっているとされている5).HOTの効果として,運動耐用能を上げること,QOLを改善させることも期待される.
一方,在宅人工呼吸(HMV)患者数は16,200人と推計され,そのうち約85%の14,000人が非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)となっている.NPPVの原因疾患はCOPD29%,肺結核後遺症21%,神経筋疾患17%,脊椎後側彎症5%,睡眠時無呼吸症候群10%,肺胞低換気症候群3%となっている.HMVでは2,200人が気管切開下陽圧換気療法(TPPV)であるが,77%の原因が神経筋疾患である(2007年度)6).
良質の在宅呼吸ケアを行うためには,様々な準備とチームの役割分担が必要であり,患者と家族を孤独な気持ちにさせないように,呼吸ケアチームで支えることが重要である.
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