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特集 喫煙の呼吸器・循環器に及ぼす影響―エビデンスに基づいて
特発性間質性肺炎と喫煙の関係
Idiopathic Interstitial Pneumonias as Possible Outcome in Relation to Smoking Status
瀬戸口 靖弘
1
,
久米 聖子
1
Yasuhiro Setoguchi
1
,
Seiko Kume
1
1東京医科大学内科学第一講座
1First Department of Internal Medicine, Tokyo Medical University
pp.1003-1007
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101343
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はじめに
タバコの煙には6,000種類以上の化学物質が含まれ,生体に対しては,種々の臓器に影響を及ぼしていることは周知のこととなっている.呼吸器系臓器,特に肺に対しては,直接煙が接触する臓器であり,空気の通り道である気道,またガス交換領域である肺胞,さらに肺に存在する免疫担当細胞への影響により種々の呼吸器疾患が喫煙と関連する.喫煙の影響として明白なことは,1秒量の経年的減少を速めることである1).特に本邦では500万人もの罹患者を有する慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)の代表的な原因になっていることは臨床的にも動物実験からも明らかになっている2).一方,拘束性肺疾患の代表である特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonia)においては,COPDほどには関連性は証明できていないのが現状である.それは特発性間質性肺炎が,臨床的,病理学的にも不均一な疾患の集合となっていることが挙げられる.しかし,1998年のATS/ERSのconsensus meeting3)により特発性間質性肺炎が6つの間質性肺炎(特発性肺線維症,非特異性間質性肺炎,剝離性間質性肺炎,細気管支炎随伴間質性肺疾患,急性間質性肺炎,リンパ性間質性肺炎)の総称となり,喫煙に関連する間質性肺炎が理解しやすくなったと思われる.
本稿では,種々の研究から喫煙との関連性でevidenceの出ている特発性肺線維症,呼吸細気管支炎随伴間質性肺炎,剝離性間質性肺炎,肺線維症併存肺気腫をとりあげ解説したい(表1).
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