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特集 呼吸器疾患治療の進歩:薬物療法と非薬物療法
肺癌の薬物療法
Chemotherapy for Lung Cancer
工藤 新三
1
Shinzoh Kudoh
1
1大阪市立大学医学部呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Osaka City University Medical School
pp.587-595
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101277
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はじめに―薬物療法と非薬物療法について
肺癌の治療成績は,他の主要な癌腫に比べると非常に悪く,全体の5年生存率は19.9%である1).非小細胞肺癌の切除例に限ってみても全体の5年生存率は61.6%である2).肺癌の治療法は手術,放射線治療,化学療法に分けられる.局所療法としての手術や放射線治療に対し,薬物療法としての化学療法は全身療法である.肺癌は厳密には分けられないが,臨床病期I/II期を除いて全身疾患と考えられる.すなわち,III/IV期は全身療法としての化学療法が中心になる.化学療法は以下に示すように,この30年で長足の進歩を遂げたものの,なお不十分な治療成績である.
本稿では非薬物療法との比較が容易な非小細胞肺癌について述べる.
非小細胞肺癌の臨床病期に応じた標準的治療法を表1に示す.化学療法は遠隔転移を示すIV期症例を中心に行われる.一方,III期においては放射線との同時併用により約5分の1の症例において治癒症例がみられるようになった.また,切除例に対して術後化学療法がIB~IIIA期に対して行われている.
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