疾患と検査値の推移
肺静脈閉塞症(PVOD)
小川 愛子
1
,
松原 広己
1
1独立行政法人国立病院機構岡山医療センター臨床研究部
pp.1435-1439
発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103786
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疾患・病態の概説
1.肺静脈閉塞症とは
肺静脈閉塞症(pulmonary veno-occlusive disease, PVOD)は,肺高血圧症の原因疾患のなかでも稀なものである.臨床的にはPVODとの鑑別診断が困難である肺毛細血管腫症(pulmonary capillary hemangiomatosis,PCH)とともに,最新の肺高血圧症の臨床分類(Dana Point分類)で1'群に分類されている1).心臓カテーテル検査による肺高血圧の診断(平均肺動脈圧25mmHg以上,肺動脈楔入圧15mmHg未満)に加えて,病理組織所見で肺静脈の狭窄や閉塞を認めることで確定診断となる2).さまざまな治療薬の登場により肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension,PAH)の予後は改善してきているが,本疾患ではむしろそういった薬剤の使用により状態が悪化する場合もあり,根本的な治療は肺移植しかない.進行の早いケースもあり予後は極めて不良で,症状発現から2年以内にほぼ全例死亡するとされる.特徴的な臨床症状や検査所見などにより,早期に臨床診断をつけることが重要である(表).
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