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Current Opinion
マクロライド少量長期療法の新展開―気管支喘息,閉塞性細気管支炎への応用:好中球に対する作用を中心に
Development of Novel Actions of Macrolides
臼杵 二郎
1
Jiro Usuki
1
1日本医科大学内科学講座(呼吸器・感染・腫瘍部門)
1Department of Internal Medicine, Divisions of Pulmonary Medicine, Infectious Diseases and Oncology, Nippon Medical School
pp.943-946
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101113
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マクロライド少量長期療法をめぐる最近1年間の話題
マクロライド少量長期療法は,エリスロマイシン少量長期投与が致死的疾患であったびまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis;DPB)の予後を画期的に改善させたことを端緒とする.その後の研究により,この効果が直接的な抗菌作用でなく,14員環ないし15員環マクロライドの持つ抗炎症作用をはじめとするいわゆる「マクロライド新作用」によるものであることが明らかとなった.
今日,マクロライド新作用研究は大きく,1)作用機序の解明,2)応用分野の拡大,3)国際化,4)創薬研究の4項目で特徴づけることができる.1)としては,気道上皮細胞におけるCl-イオンチャンネルを介した水分泌抑制作用1),粘液(ムチン)分泌抑制作用2)が既に知られている.また,マクロライドは炎症部位への好中球の遊走を抑制するが,その機序の一つとして,気道上皮細胞においては転写因子であるNF-κB,AP-1の抑制を介しIL-8産生を低下させると報告されている3,4).細菌に対してはバイオフィルム形成抑制5),細菌の毒性に関係するエラスターゼやピオシアニン毒素産生の抑制などが従来報告されてきたが,少なくともその一部はquorum sensing機構の抑制を介していることが示されている6).
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