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特集 心房細動における脳卒中の発症予防
心房細動における脳梗塞発症リスクの評価―CHADS2スコアの意義
Risk Assessment of Stroke in Patients with Atrial Fibrillation:Significance of CHADS2 score
渡邉 英一
1
Eiichi Watanabe
1
1藤田保健衛生大学循環器内科
1Department of Internal Medicine, Fujita Health University School of Medicine
pp.787-794
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101086
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はじめに
非弁膜症性心房細動(nonvalvular atrial fibrillation;NVAF)において,脳梗塞を合併する確率は洞調律の約5倍と高く,生命予後を左右する合併症のひとつである1).日本における脳梗塞急性期の実態調査(Japan Multicenter Stroke Investigators' Collaboration;J-MUSIC)2)によると,心原性脳塞栓症は脳梗塞の約20%を占め,また,このうち78%に心房細動が合併していた(図1).さらに,心房細動例の発症後28日以内の死亡率は洞調律例より有意に高かった(図1).心房細動に合併する脳塞栓症は,塞栓子が脳内に分布する動脈の近位部で詰まるため,梗塞領域が大きくなり運動機能障害や高次脳機能障害を残す.このため,NVAFでは脳梗塞のリスク因子を明らかにして発症予測をするとともに,それによって脳梗塞を未然に防ぐ一次予防と,再発を防ぐ二次予防の対策を立てる必要がある.
本稿では,NVAFにおける脳梗塞リスク因子をもとに作成されたリスクスコア,およびリスクスコアに基づいた脳梗塞予防治療について解説したい.
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