Japanese
English
特集 結核対策の現状を考える
新しい結核ワクチンの開発
The Development of Novel Vaccine for Tuberculosis
岡田 全司
1
,
喜多 洋子
1
,
金丸 典子
1
,
橋元 里実
1
,
西田 泰子
1
,
仲谷 均
1
,
高尾 京子
1
,
岸上 知恵
1
Masaji Okada
1
,
Yoko Kita
1
,
Noriko Kanamaru
1
,
Satomi Hashimoto
1
,
Yasuko Nishida
1
,
Hitoshi Nakatani
1
,
Kyoko Takao
1
,
Chie Kishigami
1
1国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター
1Clinical Research Center, National Hospital Organization Kinki-chuo Chest Medical Center
pp.685-695
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101069
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はじめに
いまだに世界の1/3の20億人が結核菌に感染しており,そのなかから毎年880万人の結核患者が発症し,200万人が毎年結核で死亡している,最大の感染症の一つである(WHOレポート2007年,図1)1~4).本邦でも1998年から結核罹患率の増加・横ばいが認められ,1999年“結核緊急事態宣言”が厚生省より出された.結核症に対する宿主の抵抗性細胞性免疫といって過言ではない.特に獲得免疫(キラーT細胞とTh1ヘルパーT細胞)が重要であり,最近では自然免疫の結核への関与が再び重要視されている.1998年,米国Centers for Disease Control and Prevention(CDC)は結核に対し,政府・学術機関・企業が一体となって新世代の結核ワクチン開発の必要性を強く主張する発表をした.また,Advisory Council for the Elimination of Tuberculosis(ACET)は,国民の健康に対する大敵である結核撲滅のためにはBCGに代わる有効なワクチンが必要であることを示した.しかしながら,BCGに代わる結核ワクチンは欧米でも臨床応用には至っていない.
われわれは,BCGよりもはるかに強力なDNAワクチンやリコンビナントBCGワクチンの開発に成功した(表1,図2)5~8).本稿では,新しい抗結核ワクチン開発と結核感染免疫におけるキラーT細胞の機能解明についても述べる9,10).
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