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特集 循環器医からみた糖尿病治療薬の考え方・使い方
循環器医と糖尿病医の糖尿病治療の違い
Diabetes Care of Diabetologists and Cardiologists for the Prevention of Cardiovascular Disease
桝田 出
1
Izuru Masuda
1
1東山武田病院内科・生活習慣病センター
1Department of Medicine, Higashiyama Takeda Hospital
pp.575-580
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101050
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はじめに
科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン(2007年)では,“糖尿病は大血管症の危険因子のひとつであり,高血糖の程度が軽い境界型でも大血管症のリスクは増加する.糖尿病を含めた危険因子を包括的にコントロールすることが大血管症の予防に重要である”と述べられている1).この点について,循環器・糖尿病専門医ならずとも異論はないだろう.糖尿病大血管症の病態解明は臨床的にも分子生物学的にも急速に進歩している.その一方で,今後解決しなければならない臨床的課題が山積していることにも気づかされる.大血管症診療で重要な指標は,血糖値(空腹時か食後か)やHbA1Cなどの血糖管理なのか,高感度CRPや頸動脈内膜中膜複合体厚(Intima-Media-Thickness;IMT)などの血管合併症検査なのか.また,糖尿病治療薬の第一選択はインスリン分泌促進薬かインスリン抵抗性改善薬なのか.これらに対する明確な指針が示されていないため臨床現場では混乱がみられる.実際,同じ医療機関で虚血性心疾患を合併した糖尿病患者を診察する際,循環器医は血管病変の所見からインスリン抵抗性改善薬を使用したいが,糖尿病医が既にスルホニル尿素(SU)薬を投与しているので遠慮してしまうとの話を耳にしたことがある.
本稿では,このような臨床的問題を提起しながら,循環器医と糖尿病医の糖尿病治療の違いを概説するが,私見を踏まえた提言になることをお許しいただきたい.
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