Japanese
English
綜説
喘息とグルタチオン・レドックス制御
The Role of Intracellular Glutathione in Bronchial Asthma
望月 博之
1
,
森川 昭廣
1
Hiroyuki Mochizuki
1
,
Akihiro Morikawa
1
1群馬大学大学院医学系研究科小児生体防御学
1Department of Pediatrics and Developmental Medicine, Graduate School of Medicine, Gunma University
pp.53-58
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100960
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はじめに
近年,喘息は慢性の気道炎症と定義されている.この慢性気道炎症により気道粘膜上皮が傷害され,気道の知覚神経過敏や気道壁のリモデリングが生じることによって喘息の基本的な病態である気道過敏性の亢進が成立すると考えられている.喘息患者の気道組織では好酸球,好中球,肥満細胞,リンパ球などの細胞浸潤がみられるが,これらの細胞から放出される活性酸素種・活性酸素(reactive oxygen species;ROS)は気道の炎症に大きく関与している.
気道は生体内で酸素に接する機会の最も多い臓器でもある.さらに大気中の汚染物質は,酸化ストレスとして,直接,気道傷害性に作用すると思われる.一方,このような酸化ストレスに対して,気道上皮細胞を含む気道粘膜は様々な抗酸化因子を有しており,酸化還元反応を介して生体の恒常性を保っているが1),この酸化還元反応の制御機構はレドックス制御(reduction and oxidation;Redox)と呼ばれている.この主たる制御機構がグルタチオン・レドックス系であるため,本稿ではこれに関連した喘息の病態を述べる.
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