Japanese
English
--------------------
皮膚疾患に対するグルタチオン剤(強力レバカルチン)の治験
THE TREATMENT OF SEVERAL SKIN DISEASES WITH GLUTATHIONPREPARATION (STRONGLEBERCALCIN)
石田 啓
1
,
佐藤 良夫
1
,
赤井 昭
1
Kei Ishida
1
,
Yoshio Sato
1
,
Sho Akai
1
1新潟大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology Niigata University School of Medicine
pp.1045-1046
発行日 1957年11月1日
Published Date 1957/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202106
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
グルタチオンはグルタミン酸,グリシン及びチスティンからなるTripeptidで,血液そのほか多く組織中に存在し生体内の酸化還元の原動力の一つをなしている1)2)。Hopkins及びMorgan3)は還元型グルタチオンは肝臓内でビタミンCを酸化から防ぐことを見出し,また,Barron及びSinger4)はこれが,細胞内酵素系の安定性賦与に役立つていると述べている。還元型グルタチオンは代謝活性がはなはだ高く,2分子結合して容易に酸化型になる。この時水素を放出して結合をおこすのはグルタチオンの分子中チステインの部分で,このチステインはメチオニンやチスチンに由来している。ここに放出された2コの水素は組織内で酸素と結合して水になり,一方酸化型になつたグルタチオン自身は可逆反応で再び還元型になる。この様にしてグルタチオンの酸化還元の働きがなされているとされている4)。又,グルタチオンの分子中の‘SH基’が解毒作用にも関与し,更に皮膚の角化現象や色素形成の問題等にも大きな役割を果していることは周知の事実である。
一方,種々の皮膚疾患とグルタチオンの関係については高岡5),また松本6)等の研究もあり,肝疾患がグルタチオンの血中濃度低下を来すことからも,これが全身性皮膚疾患に何らかの意義を有するものと思われる。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.