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はじめに
2004年,日本呼吸器学会びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会が編集した「特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き」1)が刊行された.American Thoracic Society(ATS)とEuropean Respiratory Society(ERS)が2002年にとりまとめた特発性間質性肺炎の国際分類と診断に関する報告2)に大筋沿うように作成された本書は,序文で述べているように特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonia;IIPs)に関するより正確な理解を広めることを目的に作成されており,ガイドラインというより解説書となっている.治療方針を示すことはガイドラインの最も重要な役割の一つであるが,IIPsに関しては他領域と比べて治療方針をエビデンスレベルを併記して呈示できるほど大規模試験の結果を集積できていない.また,その前の病理学的診断の段階で難渋する例も多く,まずどうやって7つのサブセットまで到達するかということに多くのスペースを割かざるを得ないのが実情である.
本稿では,まずわが国のIIPsの診断と治療の手引き1)とATS/ERSの報告2)に示されている診療指針についてごく簡単に触れ,次いでその手引きの課題とこれからの改訂の進むべき方向について,現在進行中の作業と併せて少しく私見を述べてみたい.IIPsの国際分類の枠組みは今後しばらく改変されることはないと思われるが,特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)は最も多い疾患であり予後も良くないので,この限られた小文のなかでできるだけ詳述することにする.
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