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急性心筋梗塞治療をめぐる最近1年間の話題
日本における急性心筋梗塞患者は,生活習慣の欧米化および高齢化に伴い増加することが容易に想像される.急性心筋梗塞治療は,この20年間に血栓溶解療法(ストレプトキナーゼ,t-PA),経皮的冠動脈形成術(PCI)の急性心筋梗塞患者への適用,冠動脈ステントの急性心筋梗塞患者への適応と,次から次へと有効性が明らかにされてきた.この急性心筋梗塞治療の飛躍的進歩により,20年前には急性心筋梗塞患者の急性期院内死亡率が20%程度認められていたのが,現在は5%を切るまでに至った.このように急性心筋梗塞患者の救命は格段に進歩し,現在は急性心筋梗塞患者の予後,QOLをいかに向上させるかというところにテーマが移っている.
急性心筋梗塞患者の予後を改善させるものとしては,アスピリンが挙げられる.アスピリンを服用することにより急性心筋梗塞の再発を有効に抑制することができる1).このことは,急性心筋梗塞の病態が血栓であり,血栓に対する対策が重要であることからクローズアップされてきた.また,冠動脈内血栓を引き起こす原因として,冠動脈内プラークの関与が血管内視鏡検査,血管内超音波検査,病理学的検査からクローズアップされてきた2).血管内視鏡検査を用いた観察からは,心筋梗塞患者の冠動脈内腔に黄色のプラークが多く観察され,脂質に対する対策が重要であることが明らかにされてきた3).心筋梗塞の一次予防および二次予防において,スタチンの有効性が数多くの大規模臨床試験から明らかにされ,LDLコレステロールを指標に厳格なコントロールを目指すことが基本となっている.また,レニン・アンジオテンシン系の心血管疾患における関与が示唆され,ACE阻害薬が心室リモデリングの予防,および心筋梗塞の再発予防を目的に臨床において広く使われている4).
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